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March 02, 2008

ポール・フレール先生のこと。

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少し前のことになりますが、自動車誌『CAR GRAPHIC』のスタッフや読者が敬愛を込めて「PF先生」とイニシャルで呼んでいたヨーロッパを代表するモータージャーナリスト、ポール・フレールさんが2月23日、ご自宅に近い南仏の病院で亡くなりました。享年91歳でした。

1917年にベルギーに生まれたPF先生は、ジャーナリスト業の傍らモーターレースにも出場、もっとも有名な戦績は60年のルマン24時間にオリヴィエ・ジャンドビアンと組んでフェラーリ250テスタロッサを駆り、見事優勝したことでしょう。

先生は60年代後半からヨーロッパ通信員として『CAR GRAPHIC』誌に寄稿していたため、僕も同誌のスタッフ時代や、その後のフリーランス時代に、ヨーロッパの試乗会の現場などでご一緒させていただく機会が何度もありましたが、そのなかで特に印象的だった日のことを2つ記してみましょう。

ひとつは僕がフリーランスになって3年目の87年、ニュルブルクリングの新しいGPコースで開かれたポルシェ959の試乗会でのことです。よかったら横に乗りなさい、とお誘いいただいたのでPF先生の駆る959のパセンジャーシートへ。959はサーキットを飛ばすには脚がソフトでちょっと乗り難い印象のクルマでしたが、先生はそれを綺麗に操り、なかでも取り分け最終コーナー手前のシケインを、スロットルを緩めてテールを張り出し気味にして抜けていくサマが実にお見事でありました。今にして思えば、このとき先生、御年70歳だったわけです。

続いては翌88年、南仏ニースの裏山の狭いワインディングを舞台にした同じくポルシェの964カレラ4の試乗会でのこと。そこでは先生のカレラ4を追走したり、時には先生の駆るカレラ4のパセンジャーシートに座ったりしたのですが、その助手席で観察したところでは、次のコーナーが迫るまでスロットルを踏んで加速し続ける先生のアグレッシブなドライビングスタイルが印象に残りました。あるタイトベンドでは、コーナーが予想以上に深かったため本当にギリギリまでブレーキングするハメに陥りましたが、結果として軽く流れるカレラ4のテールを落ち着かせ終わると先生、「ウ~ン、グッド!」とこちらに人差し指を立てて見せたのであります。たぶん本当は、ちょっとドキッとしたはずなのに・・・。

PF先生はそのように、スロットルのオン・オフで明確に向きの変わるクルマ、すなわち右足で向きを変え易い、コントロールできる領域の広いクルマがことのほかお好きでした。ウデのレベルは違いますが、その点では先生のお好みは僕の好みと完全に一致していたといっていいでしょう。

自動車が最も光り輝いていた時代を、素晴らしく広い見識と、貴族的な風貌に似ぬ気さくな人柄、それに何よりもクルマへの途方もなく深い愛情とともに駆け抜けてきたモータージャーナリズム界の巨星、ポール・フレール先生のご冥福を心からお祈りしたいと思います。

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Comments

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Posted by: KimmeyBunch | July 10, 2009 at 12:49 AM

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Posted by: Ajax | January 25, 2009 at 09:26 AM

ポール・フレール先生とは何度かお会いして短い話しをさせていただいた事があります。ベルギーのホンダS800クラブのメンバーである友人がフレール先生から私への言葉を入れてCGからも「いつもクルマがいた」という翻訳本が出た「My Life Full of Cars」の英語版を贈ってくれたのが宝物です。

Posted by: 燃費男 | April 24, 2008 at 11:18 PM

CRXは最後までお持ちだったのでしょうね。S800Mを使った鈴鹿でのレーシング・スクールや、荒川のコースで空冷1300をテストした後の、「元ベルギーのモーターサイクル・チャンピオンでもあったPF氏は、CB750を試し…」という記事もよく覚えています。
ホンダにゆかりがあった、ということも私には印象深いことです。

Posted by: Hide | March 05, 2008 at 01:09 PM

すごい人でした。
このニュース聞いてビツクリした1人です。

Posted by: TAKA | March 05, 2008 at 09:42 AM

ポールフレールさんのご冥福をお祈り申し上げます。
先生はまだ日本車が海のものとも山のものともわからないときに来日され的確なアドバイスをされ日本メーカーの一部にはハンドリングの指針を示されたのではないかと思います。
日本車の今日が在るのは先生のおかげ、とも云えるのでは。

Posted by: Blueman | March 04, 2008 at 10:44 AM

本日ようやく手に入れた、CG誌2008年04月号のSix at the conersを感慨深く読んでいます。

私は、ポールフレール先生のCG誌上の記事をんだり、著書である”ハイスピードドライビング”を読んだことが、自動車の(特にスポーツカーの)奥深さを知るきっかけであったような気がします。

ご冥福をお祈りします。

Posted by: 【uz】 | March 03, 2008 at 11:35 PM

先生の隣でハイスピードドライビングを目の当たりにした経験は得がたいものだったことでしょう。
内心のドキリは生徒も同じさぞ足が突っ張ったのでは、それに先生絶対無事ではなかったことは歴史が証明してますし・・・

Posted by: エスロクレーサー | March 03, 2008 at 03:00 PM

お悔やみ申し上げます。
助手席に乗せていただきたかったです。
僕の恩師もベルギー出身です。

Posted by: らた | March 03, 2008 at 12:50 AM

CGイベントで何度かお見かけしました。
ご高齢の為、杖を突いて歩いてましたが、ドライビングシートに座りステアリングを握る姿は
年齢を感じさせず、クルマのことを語るときの笑顔が印象に残っています。
この時ジュニアZのサンバイザーに頂いたサイン、一生の宝物となってしまいました。
レース経験ある偉大なる自動車ジャーナリスト「PF先生」のご冥福をお祈りいたします。

Posted by: 高尾山のJrz | March 02, 2008 at 10:15 PM

先日CGを買って、もう巻頭のPF先生の記事を読めない事に気付きました。私はアウディクワトロのプロトタイプの記事が印象的で、夢のような車が出る事にワクワクしました。CGTVでもポルシェを操る運転に感動したものです。
本当に亡くなられて残念です。ご冥福をお祈りいたします。

Posted by: komi | March 02, 2008 at 09:48 PM

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