ジャン・レデレの世界遺産、A110。
少し前に「これ、なんのメーター?」で採り上げた1974年アルピーヌA110 1600SCの全体像がこれです。ノーズに補助ランプを4基標準装着したラリーカー風フェイスは後期型の特徴ですが、実はバンパーの位置に収まるシビエのドライビングランプ、僕が1965年911に付けているのと基本的に同じもので、もともと911のラリーと長距離レース用にシビエが開発したのをアルピーヌが流用したということのようです。
自動車誌『Tipo』の仕事で9月半ばの箱根で乗ったこのA110、全長3850×全幅1550×全高1110㎜、ホイールベース2100㎜という超コンパクトなボディはFRP製で、車重はこの後期型1600SCでも770㎏しかありません。
試乗したA110はこのように純正のバケットシートを備えていたので、コクピットがタイトなためにもともと明確な人車一体感がますます強まり、僕はまるで箱根を駆けるアルピーヌの一部になったかのような気分でした。
ミケロッティが関与したといわれるA110のスタイリング、ディテールはイタリア風というより明らかにフランス風ですが、こうして真横から見るとルーフラインは極めてストレートなファストバックを描いていることが分かります。
リアフェンダー上のエンジンルームへのエアインテークなど、いかにも実戦的なディテールがコンペティションカーらしくて精悍。純正ホイールは6.5J×13、タイヤは現役時の標準が155HR13、現在履くのは175/70HR13。
ボディのリアエンドに縦置きされるエンジンは、当時のFWDセダンたるルノー16用をハイチューンしたOHV4気筒1605ccで、2基のウェバーキャブレターによって126ps/6250rpmのパワーを発生、いい音を奏でて回ります。
こういった険しくてタイトな山岳ワインディングを飛ばして最もファン・トゥ・ドライブなクルマのひとつだといって間違いないアルピーヌA110。生みの親のジャン・レデレは今年8月10日、享年85歳でこの世を去ったのでした。

































