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July 29, 2005

1969 ポルシェ911S。

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    1969年のランチア・フルヴィア・ベルリーナに乗ったちょうど1週間後、場所も同じく愛知県の名古屋近郊で、これまた1969年のポルシェ911Sに乗りました。名古屋近郊とはいえ、今回の舞台はむしろ静岡県寄りの三河山中のワインディングロードですが。1969年モデルというのは、911のエンジンがオリジナル排気量の2リッターだった最後の年のクルマで、そのなかの911Sというと、2リッターの市販型911で最も高性能なモデルなのでした。

 僕の持っている最初期モデルの1965年型911と比べると、ホイールベースが長くなり、フェンダーにも若干のフレアが加えられているのが外観上の相違点で、おそらく2台を並べてみると、同じナローでもけっこう違うのに驚くはずです。しかもこの911Sはリアにワイドリムを装着するなど、若干レーシーに装ったクルマですが、こうやって1台だけ見ていると、ナロー独特のクラシックな佇まいがなんともいい感じですね。

 2リッターから170psを絞り出す燃料噴射仕様フラット6を唸らせて、真夏の三河のワインディングを駆けた69年911Sの走りについて詳しく知りたい方は、9月7日発売のポルシェ専門誌『911DAYS』Vol.21、2005秋号をチェックしてみてください。

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July 28, 2005

筑波でロードスター。

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    ハワイ島でニュー・マツダ・ロードスターに初乗りしてから早いもので1ヵ月半近くが経った今週、ロードスター試乗会の第2弾が筑波サーキットで開かれました。筑波サイズのサーキットはしばしばロードスターのドライビングの舞台になるし、僕らジャーナリストにとっては公道では試せないことをやってみるテストの舞台としても絶好なわけです。もちろん僕も喜び勇んで出掛けました、筑波の2kmコースは今から20~25年ほど前には自分の庭のように走りこんでいたサーキットですしね。

 とはいえ、指定されたサーキット走行の大半は、最終コーナーなど2ヶ所にパイロンを並べてスピードを制限した状態で走るものでした。したがって、2リッター6段MTのRSでフルコースを好きなように走れたのはたった3ラップだけだったんですが、それでもロードスター・ドライビングの愉しさのエッセンスは、ちゃんと実感することができました。それをひと言で表現すれば、ステアリングとスロットルの連係プレーで自在にクルマの向きを変える愉しさ、ということになるでしょう。
 
 スロットルを戻しながら、あるいは適度にブレーキングしながらステアリングを切り込むと、ロードスターのノーズはスーッと内側に入っていくし、アペックスをすぎて後輪に適度なパワーを注入すると、軽いアンダーステアの安定したコーナリングに移ります。それに加えて第1コーナーやヘアピンといった比較的タイトなベンドでは、脱出態勢に移ったところで意図的にスロットルを深く踏み込むと、テールがジワーッと張り出されるのがなんとも気持ちいいんですね。

 しかもそれは、断じて手に負えない激しいテールスライドではなく、軽いカウンターステアとスロットルのアジャストで姿勢を制御できるレベルのものなのが好ましい。ドライバーにピリピリするような緊張感を強いないんですね。それに加えて、最終コーナーからの立ち上がりで味わった軽い4輪ドリフト状態も、ちょっと恍惚モノでありました.。僕はいわゆる「FR信者」ではないんですが、フロントエンジン/リアドライブにこだわった貴島主査をはじめとするマツダの人々の思いは、あの気持ちいいテールスライドに集約されているように思いました。

 2リッターという排気量と170psのパワーが、手に余ることなく、なおかつ物足りなくもないという、筑波サーキットを攻めるのにちょうどいいレベルのものだったのも、ニュー・ロードスターの筑波でのドライビングを愉しいものにしていた一因だといっていいでしょう。しかもその軽快な身のこなしには、グラム単位の減量に勤しんだ結果得られた車重1100kgという軽量も、大いに効果を発揮しているのは間違いありません。それに、エンジンがハワイ島で乗ったときより明らかに活発に感じられたのも、好ましい点のひとつでした。

 ハンドリングのディテールにあまり満足していないらしい同業者や、先代からの進化が期待ほどでないという意見を持った同業者もいるようですが、僕はニュー・ロードスター、基本的に正しい方向に進化した、愉しいスポーツカーだと感じています。つまり、新しいロードスターはこういうクルマでいいんじゃないか、と思っているわけですね、少なくとも現時点では。ま、最終的な評価は、箱根のワインディングロードや都内の道を走ってから下したいと思いますが・・・。

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July 26, 2005

雨の高速道路。

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    台風7号が房総半島に上陸する直前、ちょっと所用あってウチのゴルフGLiで関越自動車道に乗って埼玉方面にいってきました。ゴルフⅤはもともと高速でのスタビリティが抜群に高いし、標準タイヤのトレッドにはまだ充分に溝があるし、しかもウチのGLiはダンパーをKONI Sportに替えてあるしで、たとえ豪雨のなかでも自分のクルマに関してはちゃんと自信をもって走らせているんですが、それでも雨の高速道路は恐いですね。特に後ろから大型トラックがけっこうなスピードで走ってきたりすると、イザとなったときにあいつは本当に止まれるんだろうかと、と心配になってしまうわけです。

 その昔、雨の富士スピードウェイでレースに出たとき、深い水溜りに乗ってタイヤが滑り始めたらクルマはもはや完全にコントロール不能でお手上げ状態、あとはもう運を天に任すしかないのを経験しているので、余計にそう思うわけです。大型トラックの免許を取るには、ヘヴィウェットなクローズドコースにおけるブレーキング経験が必須、くらいの思い切った策が必要じゃないかと思うんですね僕は、雨の高速道路を走るたびに。もちろん、この日は無事に家に帰り着きましたが。

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July 22, 2005

1969 ランチア・フルヴィア・ベルリーナGTE。

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    「最近のセダンてーものは、クーペみたいなルーフラインの甘っちょろい奴ばっかりで、どーも気に食わないね、ワタシャ」、とベランメー調でお怒りの諸兄に、こんなセダンはいかがでしょう。1969年ランチア・フルヴィア・ベルリーナGTE、つまりフルヴィア・セダンのオリジナルモデルの後期型であります。

 かの有名なアルファ・ロメオのジュリア・ベルリーナをはじめとして、フィアット124、125、128と、60年代のイタリアには真四角な弁当箱スタイルのセダンがたくさんあったんですね。でもそのなかで群を抜いて真っ平らで真四角だったのが、このフルヴィア・ベルリーナだったといっていいでしょう。しかしそれは、真四角でありながらビジネスライクな印象はなく、むしろ独特の色気のようなものを感じさせるところがさすがイタリア知性派の名門、ランチアのクルマだといえます。特に、ちょっと立体的な処理が施されたテールエンドのデザインの、なんとも味のあること。

 このランチアの弁当箱に乗るために、この日は名古屋の南、知多半島に新設されたショートサーキット、Lido美浜サーキットまで東名経由で足を運んだのでした。そのコースと周辺の道路で乗った1.3リッター狭角V4エンジンで前輪を駆動するこの個性派クラシックセダンの走りは、スタイリング同様になかなか味わい深いものだったんですが、興味のある方は8月6日発売の自動車専門誌『Tipo』9月号、ドラマチックシーンのページをチェックしてみてください。

 最後の画像にあるように、取材を終えて、このクルマを普段も足に使っているというオーナー氏のドライビングで僕らの乗るシトロエン・ピカソを抜いていった後ろ姿からも、このフルヴィア・ベルリーナGTEが快調なクルマであることは容易に想像できるでしょう。

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July 19, 2005

2年ぶりの爽快ダウンヒル。

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    久しぶりに自転車のダウンヒルをやってきました。今から10年くらい前に始めて、最初の5~6年はけっこう頻繁にかよってましたね、長野県の富士見パノラマリゾート。もちろんここは冬はスキー場なんですが、4月末~11月初旬のオフシーズンにはマウンテンバイクのフィールドに変わるわけです。ゴンドラに人間といっしょにバイクを積んで、標高1800m近いポイントまで上り、そこから1100m弱の位置にあるゲレンデの麓まで、700m強の標高差を一気に駆け下りてくるわけですね、ダウンヒルバイクと通称される下りに強い自転車に跨って。コースは難易度の高い順にA、B、Cの3種類があり、Aコースは全日本のレースでも使われる難しいコースなんですが、頻繁に富士見にかよっている頃は、自分のダウンヒルバイクで簡単にそこをクリアしていました。

 でも今回は、ダウンヒルバイクに乗るのも富士見を下るのも2年ぶりだったし、初めて下る人もいたので、慎重を期してCコースを選びました。クルマとモーターサイクルの話題が濃密に満載されているフリーマガジン、そう文字どおりタダで貰える雑誌『ahead』でマウンテンバイクのダウンヒルを採り上げることになり、僕としてはちょうど2年ぶりに富士見パノラマリゾートを訪れたわけです。そこで、どうせなら最近のバイクの実力を味わってみようと、ダウンヒルに使える最新型バイクを輸入元から借り出し、それで富士見を下ってみたのでした。

 ダウンヒル用のバイクは前後にサスペンションがついたいわゆる“フルサス”が基本で、しかもそのサスペンションのストロークが150㎜以上あるものが普通です。もっとストロークが短くても、あるいは極端な話リアがリジッドのバイクでも乗り手のテクニックと体力さえあれば山は下れるんですが、ロングストロークのサスペンションを持ったバイクの方がよりイージーかつ安全に下りを愉しめるんですね。なぜならダウンヒルのコースにはフラットな路面はほとんどなく、木の根が出っ張っていたり、岩がゴロゴロしたりしている場所が大半なので、サスペンションの衝撃吸収能力が乗り易さを大きく左右するわけなんです。それにもうひとつブレーキの効きのよさも重要なポイントです。

 かつては1日にAコースを7本下ったこともありました。今回は久しぶりの身体や目の感覚を慣らしたり、雑誌の撮影をこなしたりしながらCコースをゆっくりと3本下っただけでしたが、それでもダウンヒルの爽快さを思い出すには充分な、実に愉しい一日になったのでした。というわけで、上から順に画像の説明をしましょう。

1)こうやってゴンドラに乗ってコースの頂を目指すわけです。この日は雲がかかっていましたが、晴れた日には正面に八ヶ岳の偉容が広がって、目を愉しませてくれます。ゴンドラの下を走る土のルートはAコースの一部。

2)これは中腹のゲレンデに設えられた休息場所。バイクは左の黒いのがトレック・セッション77、右のグレーのがゲイリー・フィッシャーのキング・フィッシャー。いずれもアメリカンブランドの製品で、下りが得意だが上りも少しはいける、いわゆるフリーライド系バイク。サスペンションストロークは前後とも170㎜。

3)林のなかの樹々のあいだを縫って走るこういうセクションをシングルトラックと呼びます。そこを下っていくのは、1日でかなり上達した『ahead』誌編集長。

4)こちらはCコース半ばの休息場のベンチでヘルメットを外そうとする、僕の友人のオヤジダウンヒラー2人。シャツの内側にはプロテクターを着用し、こんなイカツイ格好でダウンヒルしているわけです。

5)これはCコースの下の方にある比較的フラットなシングルトラック。森のなかにバイクのチェーンが躍るカシャカシャという音だけが聴こえる静けさも、このスポーツの魅力のひとつですね。

6)僕はあまり乗るチャンスがありませんでしたが、上りも下りもいけるオールマウンテンというカテゴリーの最新バイク、サンタクルズ・ノマド。マウンテンバイク発祥の地、カリフォルニア製であります。

7)麓の駐車場に設営した僕らのベース。全面的にお世話になったサイクランド・コーフー=KOOWHOのテントとステップワゴン、それに編集部が乗ってきたレガシィ・ワゴンとルノー・カングー。

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July 16, 2005

もうひとつの箱根。

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    この日は土曜日だというのに早朝6時半に東名の海老名SAに集合、そこからターンパイク経由で箱根を目指しました。クルマのウエブサイト『carview』の企画による仕事で、J-waveのDJで御馴染みのロバート・ハリス氏と僕のオヤジ2人が箱根にドライブするというもの。クルマはBMW760LiとジャガーXKRという豪勢なペアで、しかも2台とも特別にヨコハマ新しい高性能タイヤを履いているところがミソでした。で、早朝から午前中にかけては霧に覆われたターンパイクから芦ノ湖スカイラインへと、週末ゆえに走り屋諸氏のクルマが多数集結した箱根ワインディング街道を撮影をかねて走り回ったのです。ウイークデイでないことを別にすれば、ここまではいつもの箱根取材パターンと変わりません。

 ところが今回はそれからあとが違いました。芦ノ湖スカイラインでの走りと撮影が終わると小田原もしくは御殿場に向けて下山、というのが通常のパターンですが、今回は昼すぎに箱根の有名な温泉街である宮ノ下方面に向かい、そこにある日本旅館「吟遊」に立ち寄ったのです。そこはいわゆる“ネオ和風”といいましょうか、一部にバリ島の住居のスタイルを採り入れたという、今風の洒落た和風旅館でした。で、画像は一番上がXKRと760Liが乗り入れた「吟遊」のアプローチ部分、2番目が裏にそびえる箱根の山々を眺め、谷のせせらぎの音を聴くためのラウンジの半戸外空間、そして3番目が1階客室のテラスとそこに設けられた露天風呂であります。ここは本来は男だけで立ち寄るべき場所ではありませんが、ま、今回はあくまで勉強ということで・・・・・。

 というわけで、いつも僕らが足を運んでいる“走り屋”系の箱根とはまったく別の、もうひとつの箱根の魅力を垣間見てしまった夏の土曜の午後でありました。なお、この日の取材のリポートに興味のある方は、来週後半の『carview』にアップされるはずなので、チェックしてみてください。そうそう、ハリス氏はDJで耳にするとおりのナイスガイでありましたよ。

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July 15, 2005

グッバイ、NSX。

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    数日前、ホンダから送信されてきたニュースリリースのサイトに、NSXが本年末をもって生産中止になるという発表がありました。その主たる理由は、来年から欧米で施行される環境規制への対応が難しいから、というもの。いずれにせよ、アルミモノコックという画期的なボディ構造を持つミドエンジンスポーツカーとして1990年に発売されて今年で満15年、その間にマイナーチェンジはあっても基本的な部分は最初のカタチを保ったままNSXは造られ続けてきたわけです。モデルチェンジなしに15年というのはスポーツカーとしても長寿な方で、僕がすぐに思い浮かべたのは930型ポルシェ911でした。いわゆるビッグバンパーボディのタイプ930も、1974年から89年まで、ちょうど15年間にわたって現役だったのです。

 ポルシェとの対比はともかくとして、NSXの15年間という生産期間は、スーパーカブのような途方もない例外を別にすれば、ホンダのクルマとしては異例に長寿だったといえます。例えばいずれも3代目のオデッセイとステップワゴンがそうであるように、新しいコンセプトとそれにともなったクルマのスタイルが発想されると、躊躇なく新スタイルを採用した新型にモデルチェンジするという通常のホンダのやり方とはちょっと違う方法論を、NSXは示していたのでした。もちろんそこには、生産台数が少ないからそう簡単にモデルチェンジできない、という事情があったのは容易に想像できますが。いずれにせよ、ちょっと寂しい気分になりましたが、そのニュースリリースに、ホンダはNSXの後継モデルとなるべき最新技術を採用した新しいスポーツカーを鋭意開発中、という一節が添えられていたのが大いなる救いであると同時に、新たな期待が膨らんできました。

 画像は今年3月初め、『ENGINE』誌のスポーツカーGPという記事のために雪の箱根に内外のスポーツカーが集結した際の、NSX typeRです。正直なところ、個人的にはノーマルのNSXにはさほど強い興味は持っていませんでしたが、typeRは別でした。90年代から00年代半ばにおける日本車のなかでイチバン男らしいスポーツカー、それは疑いもなくホンダNSX typeRだったと思います。

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July 11, 2005

ブリティッシュGPと、シルヴァーストーン。

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    ブリティッシュGP、琢磨は残念でしたね。ま、エンジンのストールは自分自身のミスだというから仕方ないといえば仕方ないけれど。その一方で、モントーヤの復活は爽快でした。コロンビアの暴れん坊、なんていわれていながら、チームメートたる北欧のボソボソ兄ちゃんの速さにすっかり圧倒されて、ここのところ影が薄くなっていましたから。今回の、タイトコーナーごとに軽くテールを流しながらのファン・パブロのノッた走りは、観ていて実に気持ちよかった。僕は別にモントーヤのファンでもなんでもないんですが・・・。
 
 そのTVを観ていてひとつ思い出したことがあるんですが、実は今からちょうど30年前の1975年ブリティッシュGPは、僕自身が初めて現場で目にしたF1レースだったのでした。もちろん場所も今と同じシルヴァーストーンで。それは『CG』誌に入って5年目の僕にとって初の海外取材で、日本からプライベートビルドのフォーミュラワン、マキF1が実戦デビューするのでそれを取材する、というのが僕がブリティッシュGPを訪れた最大の理由なのでした。でも、鮒子田寛選手駆るマキF1は残念ながら予選落ち、それでももちろん僕はレース当日もシルヴァーストーンにかよい、ニコマートで写真なんかも撮りつつ、本場のF1レースを目の当たりにしたのであります。当時はまだF1サーカスを常に巡っている日本人は本当に少なく、日本のF1フォトグラファーのパイオニアだった間瀬明さんとジョー本田さんくらいしかいなかったと記憶しています。

 で、30年前のブリティッシュGPはどんなレースだったかというと、当時はニキ・ラウダ、クレイ・レガッツォーニ、ジェイムス・ハント、ロニー・ペテルソン、カルロス・ロイテマン、マリオ・アンドレッティ、ジョディ・シェクターといった錚々たるドライバーたちが速さを競っていたんですが、その日はレース中に何度か雨が降ったり止んだりした後、終盤になってバケツをひっくり返したような豪雨に襲われて多くのドライバーがガードレールの餌食になり、結局マクラーレンM23・フォードを駆るエマーソン・フィッティパルディが勝利を収めたのでした。

 僕はといえば、予選の日に雲ひとつなく晴れ上がったシルヴァーストーンの夏空に騙されてTシャツ1枚でパドックに出掛けたら、ひどい目にあいました。しばらくしたら一天俄かにかき曇り、気温が一気に下降すると同時に、猛烈な勢いで大粒の雨が振ってきたのです。日本からやってきた若造ジャーナリストは、ずぶ濡れのTシャツ1枚でプレスカーパーキングに駆け戻り、車内のスーツケースからシャツを取り出して震えながら着替えていたら、その数メーター先で信じられないような光景が展開されていました。地元のベテランジャーナリストと思しき初老のジェントルマンが、真夏7月だというのにクルマからダッフルコートを取り出して、平然とそれを着用におよんだのです。

 「夏のイギリスには一日のなかに四季がある」、という言葉を実感とともに噛み締めた、30年前のシルヴァーストーンの午後でありました。

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July 08, 2005

FWDかクワトロか、それが問題だ。

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    クワトロの付加価値に頼らなくても売れるようになれば、日本におけるアウディの人気も本物といえるはずだ。この日、A6アバントの試乗会で箱根を走ってきて、そう思いましたね、僕は。というのは、去年セダンに乗ったときにもそう感じたけれど、アウディA6はベーシックな2.4リッターV6のFWD=前輪駆動モデルが実にいいんです。
 
 177psといわれるパワーは充分だし、マルチトロニックなるマニュアルモード付きのCVTも上出来、ソフトな脚がゆったりした快適な乗り心地を提供してくれる上に、ハンドリングもアンダーステアが軽いから芦ノ湖スカイラインでも愉しめる。気になったのは、コーナーを攻めると、16インチのミシュラン・パイロット・プライマシーがすぐに鳴き出してうるさいことくらいでしょうか。ま、サイズは僕の好みからすると大きすぎますが、こんなのを足に使っても悪くないかなと思わぬではありませんでしたね。画像の上から4枚目までがこの2.4V6のFWDモデルですが、例の顔の好みは別にして、ボディもなかなかスタイリッシュですよね。それと、ベージュのレザーで設えられたインテリアも明るくて快適ですが、実はこれは本革シートとシートヒーターがセットになった、レザーパッケージという35万円也のオプションなのでした。ちなみにオプションを別にした2.4V6FWD仕様A6アバントの車両本体価格は586万円と、安くはないですが。

 そのあとに乗ったのが、一番最後の画像にあるシルバーのアバント3.2FSIクワトロで、エンジンは同じV6でもぐーんとパワフルな255psの3.2リッターFSIユニットになって、ATは6段ティプトロニックに替わり、駆動系もアウディお得意のフルタイム4WD、クワトロになります。もちろんこれはこれで加速は明らかに一回り力強く、雨が激しく降り出した“芦スカ”でもトラクションを確実に効かせてコーナーを脱出していくのはさすがクワトロだし、試乗車が32万円のオプションのアダプティブ・エアサスペンションを装着していたこともあって、17インチのコンチネンタルによる乗り心地もフラットで快適なものでした。ちなみにこの仕様だと車両本体価格は726万円に跳ね上がりますが、依然として本革シートは2.4と同じく35万円のオプションであります。

 実は今年は1980年に初めてアウディ・クワトロが世に出てから25年目の記念すべき年に当たります。80年当時に公道やサーキットでテストドライブしたクワトロ・クーペって、たしかにトラクションは強力でしたが、コーナーでは頑固な強アンダーステアを示すクルマでした。それに比べると今日のA6クワトロのハンドリングの素直でニュートラルなことに、この四半世紀のアウディ4WDの進歩ぶりが如実に伺えます。でもそれと同じくらい、あるいはそれ以上に、ベーシックなFWDモデルの出来のいいのが印象に残った、A6アバント試乗会でした。

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July 02, 2005

富士スピードウェイでM5に。

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    この日は新しいBMW M5に乗れるというので、土曜日だというのに早朝から富士スピードウェイに向かいました。BMWジャパンがライフスタイル系一般誌を対象にしてニューM5の試乗会を開催、僕がクルマの記事を書いている『Pen』もそこに呼ばれたのでした。実をいうと、新しいM5に乗るのも初めてですが、新装成った富士スピードウェイを走るのを初めてなので、余計にワクワクして富士の裾野に向かったのです。

 昔は裏門だった側の東ゲートから入ると、間近に富士山が見えることを除けば、そこがかつて「FISCO」と呼ばれていたサーキットと同じ場所だとは思えぬほど、すべてが変わっていました。ゲートを通過して素晴らしい広さのアプローチロードを上り、コース下をくぐるトンネルを抜けて左折、もう一度急坂を上ると、広大なパドックに出ます。その周辺に建つピットやグランドスタンドなどの建造物はすべてモダンなデザインに一新されていますが、ここまで来るとそこがかつて何度も足を運んだことのある富士スピードウェイのパドックであることが実感できます。

 そこには、4台の新型M5と、3世代にわたる歴代のM5が1台ずつ並んでいました。『Pen』の自動車ページは、最新モデルとその先々代以前のモデルの2台を対比させて記事をつくるパターンなので、この日は最新のE60型の他に、2世代前のE34型M5も借り出しての撮影となったのでした。

 新型を撮影しているあいだ、僕はE34型を運転して新富士スピードウェイの見学と洒落込み、すっかりモダナイズされたグランドスタンドや第1コーナー席などを見て回ったんですが、そのなかで特に感慨深かったのが、その昔「30度バンク」と呼ばれていた、旧6kmコースのストレート終わりから奈落の底に落ちるかのように下っていく、バンクの跡でした。日産、トヨタのワークス対決にプライベート・ポルシェが絡んだ1966年5月3日の第3回日本グランプリをはじめとして、60年代後半から70年代初めに掛けてここでおこなわれたビッグレースの多くを観戦、恐らくそこを歯を食いしばりながら全開で駆け下っていった日本のモーターレーシングの初期を彩った男たちの勇気溢れるドライビングを目の当たりにし、なおかつ後年にはフォーミュラカーのFJ1300を駆って自らバンクを駆ける恐怖のドライビングも体験したことのある僕としては、今や黒く苔むした30度バンクは、まさしくツワモノどもの夢の跡に見えたのでした。そう、1番下の画像がその30度バンク跡であります。

 それと比べると、富士の新コースのなんとセイフティでクリーンなことか。とはいえ、これまで“度胸一発”の要素が残っていた曲率の大きい最終コーナーがなくなり、ぐっとタイトで上りのきついコーナーに変身した旧最終コーナー部分は、初めて走った僕には正しいラインを見つけるのが難しいほど、テクニカルなコーナーに変わっていたのでした。

 ところで肝心のニューM5ですが、これは実に素晴らしいスポーツサルーンだったといえます。507psと53kgmを発生する5リッターV10エンジンで後輪を駆動する車重1830kgの大柄な4ドアサルーンが、サーキットであれだけ確実なフットワークを見せてくれるというのは、ちょっとした驚きだったといっていいでしょう。ストレート後半ではメーターは250km/hに達しましたが、強力でしかも安定したブレーキが第1コーナーまでに確実にスピードを殺してくれるのも、印象に残ったことのひとつでした。

 残念ながら公道は走っていませんが、コクピットの画像からも分かるように、ニューM5はかなり快適なスポーツサルーンに仕立てられているように見えます。しかもそれでいて、1290万円というプライスは先代より140万円以上も安いといいますから、こういう速くて豪華なサルーンが欲しいリッチマンには、絶好の1台ではないでしょうか。ただし僕自身は、こんなに高性能なサルーンは要りませんけど。足にするサルーンだったらもっとゆったり乗っていられるクルマが僕の好みだし、しかもこういうクルマだと免許証がいくつあっても足らなくなりそうで・・・・・。

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July 01, 2005

雨の箱根でMTハッチバック3台。

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    7月最初の日であるこの日も前日に続いて箱根を訪れましたが、前日と違って最後まで激しい雨が止むことはありませんでした。そのなかで乗ったのはプジョー307、ルノー・メガーヌ、アルファ147のいずれも1.6リッターMT仕様で、その他にもう1台、トップの画像にダッシュボードが写っているシトロエンC4のクーペ2.0VTSもドライビングしました。もちろんこれもMT仕様ですね。けれども2リッターのシトロエンC4は実は番外のクルマで、記事の本分はあくまでCセグメントハッチバックの小排気量版、1.6リッターMT仕様の比較というものでありました。
 
 この3台、いずれのクルマも乗り味が特徴的なので、簡単には優劣をつけ難いものがありましたが、5段MTを駆使して決してパワフルとはいえぬ1.6リッターエンジンをブン回し、持てるポテンシャルをフルに発揮して走るというドライビングが、2リッターのAT仕様を余裕で走らせるのより面白かったのは間違いありません。たとえそれが非力な小排気量の実用車であっても、ギアボックスがマニュアルであるというだけでドライビングがぐっとスポーティでfunなものになるのを、再確認した次第であります。

 さて、この3台+番外の1台はどんなドライビングプレシャーを示してくれたか、運転がとりわけ愉しかったクルマはあるのか、といったことに興味のある方は、7月26日発売の月刊誌『ENGINE』9月号をチェックしてみてください。

 そうそう、誤解のないように書き加えておきますが、2リッターよりも1.6リッターの方が運転が面白いというのは、あくまでそれがMTだからなんです。メルセデスAクラスのリポートに書いたように、足と割り切ってATに乗るのなら、僕は1.6リッターではなくトルクに余裕のある2リッターを選びます。ただし、それがMTだったら1.6リッターで充分、あるいはむしろ1.6リッターの方が面白いですよ、といいたいわけですね。ということで、ご理解をヨロシク!

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