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November 30, 2004

カッコよくなったシトロエンC5。

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    エグザンティアの後継モデルとして2000年秋にデビューしたシトロエンC5は、XMなき現在、ガスとオイルを使ったハイドロニューマチック・サスペンションを備える唯一のシトロエンなんですが、ボディサイズが存外に大きくなってしまったのに加えて、そのスタイリングがいささか魅力に欠けるものだったため、エグザンティアからの乗り換えに躊躇したシトロエン・フリークも少なくなかったはずです。そのC5が最近、フロントとリアのデザインをフェイスリフトした新型に変わり、日本でも発売されたのが画像のクルマです。10日ほど前にフランスで乗ってきたC4と同じモチーフを与えられた新しい顔は、シトロエンのマークのベースになっているダブルシェブロンを幾何学的にアレンジしたグリルとツリ目のヘッドライトを組み合わせたもので、C4と同じく彼らの新しいチーフデザイナー、ジャン・ピエール・プルーエのディレクションによるものです。C4やこのC5に代表される最新のシトロエンのスタイリングの好ましい変貌ぶりを目の当たりにすると、クルマの魅力にとってデザイナーの力がいかに重要かがストレートに分かりますね。

 と同時にニューC5、3リッターV6にはアイシンAW製の6段ATが備わり、2リッター直4はエンジンがパワーアップされるなど、メカニズムの面でも魅力を増していますが、その効果のほどは箱根の試乗会で短時間ながら体感することができました。これでやっとハイドロニューマチック・シトロエンが本来の輝きを取り戻した、という印象を得たニューC5の日本デビューであります。

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November 29, 2004

“空飛ぶ円盤”という名のアルファ・ロメオ。

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    このちょっと奇妙なカタチをしたオープンスポーツカーは、1952年にアルファ・ロメオがつくったレーシングカーのプロトタイプで、正式車名「アルファ・ロメオ1900 C52ディスコ・ヴォランテ2000スパイダー」といいます。158psを生み出す2リッター4気筒DOHCエンジンをフロントに積んだこのレーシングスポーツカーは、その特異なボディスタイルからイタリア語で“空飛ぶ円盤”=“ディスコ・ヴォランテ”の名を与えられたのですが、実はこのアルミボディ、車重は735kgという軽量で、空気抵抗も当時のクルマとしてはたしかに少なかったものの、実際に走らせてみると高速ではボディが浮き上がる方向に作用してしまい、挙動が不安定だったと伝えられています。その結果、このカタチのディスコ・ヴォランテはスパイダーとクーペが1台ずつ造られただけで、レースに出ることはなかったといいます。

 このクルマは普段、ミラノ郊外アレーゼにあるアルファ・ロメオ・ミュージアムに展示されていますが、それが今回、日本版ミッレミリアに出場するためにやってきて、その後も少しこの極東の地に腰を落ち着けているらしいのです。そこでこの日、世界にたった1台しかない本物のディスコ・ヴォランテ・スパイダーに触れて、なんと実際に操縦なんかしちゃったんですが、その興奮については自動車雑誌『Tipo』2005年2月号に詳しく書くことになるはずです。

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November 23, 2004

フェラーリ612スカリエッティ。

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    休日や祭日なのにクルマの都合や当方の都合によって、どうしてもその日しか取材や試乗ができないことがあります。自動車雑誌『Tipo』2005年1月号のために612スカリエッティという名のフェラーリに乗ったこの日もその典型で、仕方ないから一般のドライブ客のクルマが箱根に出てくる前に試乗を終わらせようと午前6時に編集スタッフと某SAで待ち合わせ、そこから612を駆って箱根に向かったのですが、すでに東名はびっくりするほど込んでいました。あんな早くから、皆さんどこに出掛けるんでしょうね。

 モデナにある有名なボディ工房の名前を冠して今年のデトロイト・ショーでデビューした612スカリエッティは、現行モデルで唯一の4座フェラーリで、実際そのキャビンにはさほど大柄でなければ大人が2人無理なく座れるリアシートが備わっているほか、乗り心地なども存外ソフトに仕立てられていて、普通に走ってはフェラーリらしからぬおとなしいクルマに思えます。ま、キャラクターをはっきりさせているんですね。ところがその一方で、そのエレガントなボディのフロントミドシップに540psのパワーと60kgmのトルクを捻り出す強力な5.75リッターV12エンジンを搭載しているので、6段MTまたはその2ペダル版の「F1A」ことF1トランスミッションを駆使して車重1840kgのボディを引っ張り上げれば、計算上315km/hの最高速に達するという猛烈な高性能車でもあります。つまり、イザとなればフェラーリの本性発揮、というわけです。全長4.9m、幅2m弱という巨大だけれどもエレガントなクーペボディが、ピニンファリーナに在籍の奥山清行さんという日本人チーフデザイナーの作品であるという事実も、この612スカリエッティのポイントのひとつだと言えるかもしれません。

 というわけで、晩秋早朝の箱根の澄んだ空気のなかに佇むスカリエッティの姿、とくと御鑑賞あれ。ちなみに日本でのプライスは、F1ギアボックス付きで税込み2990万円となります。世界最速の4シーターがお望みなら、ぜひ1台!

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オペル・アストラ。

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    同じCセグメントの定番、VWゴルフを追うようにモデルチェンジした新型オペル・アストラが日本でも発売されました。ボディはサイズ的にもゴルフとほぼ同様のハッチバックですが、こっちの方がウエストラインが高く、しかもエッジの立った、ダイナミックでちょっとワルっぽい格好をしています。日本に導入されたのは1.8リッターの1.8CDと1.8スポーツ、それに2リッターのターボエンジンを積む2.0ターボ・スポーツの合計3モデルで、前2者は4段ATを、後者は6段MTを標準装備しています。この日フェラーリ612スカリエッティの試乗の足に箱根に乗ってきたのは1.8スポーツで、プライスは税込み265万円と、ゴルフでいえば1.6リッターのEと2リッターのGLiのあいだのややGLi寄りに位置しています。

 このアストラ1.8スポーツの最大のポイントは活発な走りにあるといえます。1.8リッターDOHC16バルブ4気筒のパワーは125psにすぎず、ATもゴルフの6段と比べると見劣りする4段型ですが、走り出してみるとエンジンは勢いよく回転を上げて、予想するよりずっと元気のいい加速を振る舞ってくれます。それに加えてこのクルマは、コーナリングをはじめとする身のこなしに関しても、活発でスポーティな印象を与えてくれます。なにせ標準で215/45R17というサイズのタイヤを履いているのですから、そのヤル気が伺えるというものです。しかもこのモデルには、ダッシュに「SPORT」というスイッチがあり、それをプッシュするとダンパーが硬くなり、パワーステアリングが重くなり、スロットル・レスポンスが一段と鋭くなったうえに、ATのシフトアップポイントも高くなるんですが、実はこのスイッチの必要性はあまり感じられませんでした。なかでも特に、よほどスピードを上げないとATが低いギアをキープしてしまうセッティングは、日本の路上では現実的ではありません。だいいちこのクルマ、標準状態で充分にスポーティに感じられるんですから、「SPORT」スイッチは特に必要ないのでは、と思いました。となると素の1.8CD、税込み235万円也で充分なのかもしれませんね。

 いずれにせよ、アストラ1.8スポーツ、飛ばしているとなかなか痛快なんですが、街中を普通に走るような日常的な状況では、ちょっと粗削りなところも見えます。例えば発進で踏み込んだときのエンジンの吹け上がりが不自然なほど鋭かったり、ATのシフトアップ&ダウンが時たまちょっと荒っぽかったり、路面によっては17インチタイヤのバネ下の重さがボディに伝わってきたりするんですね。そういう点では、圧倒的に剛性の高いボディと操作系などの緻密な造り込みによって、日常的な用途においてはほとんど不快な部分を感じさせないゴルフⅤにイマイチ届いていない、というのが正直な印象でした。その一方でこのオペルのCセグメントカーは、洒落たボディカラーが選べるといったセンスの面では、ウォルフスブルグの定番モデルを確実に凌いでいると思うんですが・・・。

November 20, 2004

パリ-東京、AF278便。

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   前日の19日、シトロエンC4の雨中での試乗を終えてホテルに戻った僕らは、そこで荷物をピックアップすると、ほとんど休む間もなくバスに乗ってビアリッツ空港に向かいました。そこから17時20分発のAF=エールフランス機でパリ南のオルリー空港に着くと、今度はミニバンでパリの外れを縦断してその北の郊外にあるシャルル・ド・ゴール空港に移動、23時15分発の成田行きAF278便に搭乗したのです。AF278はヨーロッパを最も遅く発つ成田便で、この日のように西ヨーロッパで午後まで仕事や所用があり、なおかつその日のうちの飛行機に乗って日本時間の翌日の夜には東京に着いていたい、というときには使えるフライトです。

 画像は成田着陸の数十分前、佐渡島の上空あたりを飛んでいるAF278便ボーイングB777の新しいビジネスクラスの室内で、ベージュの内装がなぜか最近のルノーの高級モデルのインテリアを連想させますが、新デザインのシートはこれまでのものよりずっと楽に脚を伸ばして寝られるようになっています。とはいえ完全にフラットになるわけではなく、同様に最近続々と新デザインに替わりつつあるJAL、LH=ルフトハンザなんかのビジネスクラスのシートとほぼいい勝負、というところでしょうか。そういう意味では、ユニークな互い違いレイアウトでほぼフルフラットなシートをビジネスクラスで実現したBA=ブリティッシュ・エアウェイズが頭ひとつ抜けているような気がします。

 とはいっても僕は別に、国際線のシートはフルフラットじゃなきゃ駄目だ、なんて言いたいわけではありません。1970年代半ばから後半に掛けて、背もたれもほとんど倒せないエコノミークラスのシートに座って、航空会社によっては36時間も費やして南回りでヨーロッパまで飛んでいった頃と比べれば、今どきのビジネスクラスの12時間なんてまるで天国のようなものだからです。つまり僕は、様々な国の航空会社がそのお国柄を垣間見せながらシートのデザインや機内食のメニューで互いにコンペティションしているのを、色々な飛行機に乗るたびに心から面白がっているのであります。ま、クルマのニューモデルに触れるのと似たような愉しみですね。

 で、この日の278便はAFにしては珍しく、定刻の20日19時ちょうどより30分近く早く、成田に降り立ったのでした。

November 19, 2004

シトロエンC4、雨中の初試乗。

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    前日はあんなにいい天気だったのに、この日ビアリッツは朝から雨、しかも海のほうから嵐のような強い風さえ吹きつけてきます。しかしそんなことでメゲてはいられません。なにしろ夜にはもう日本への帰路に着くのですから、C4に乗るチャンスはこの日の朝から午後までしかないのです。

 そこで朝の8時過ぎ、僕ら日本グループは4台のC4に分乗して、シトロエン指定のテストルートに出発しました。その4台とは、5ドアがHDi 110とHDi 138の2台のターボディーゼル、クーペが1.6i 16Vと2.0i 16V 180hpの2台のガソリンで、トランスミッションはディーゼルのHDi 138が6段MT、他の3台が5段MT。つまり、日本での主要モデルになると思われる4段AT仕様の試乗車はまだ用意されていなかったわけです。取り敢えず地元向けのモデルの生産を立ち上げるというのはヨーロッパのメーカーにはよくあることですから、これはまあ驚くには当たりません。それら4台のインプレッションを詳しく書いている余裕はありませんが、まず好感を持ったのがその個性的なエクステリアとインテリアでした。ボディ形状はかなり違って見えるのに、5ドアもクーペも同じ居住スペースが与えられているという室内は、Cセグメントのなかで特別広い部類というわけではありませんが、4~5人のためのファミリーカーとしてまったく不足のない広さが確保されているといえます。と同時に、シトロエンらしさが帰ってきたといえるステアリング周りとダッシュボードおよびメーター類の特徴的なデザインは、僕にはかなり魅力的に見えました。ちなみに上の画像にあるダッシュボードは高級仕様のもので、ステアリングの前がタコメーター、センターの上がスピードメーター、そしてセンター下にはシンプルなディスプレイに好感が持てるナビも備わっていました。

 ところで、C4はクサラの後継モデルですから基本的にはプジョー307と同じプラットフォームを持っています。したがってサスペンションはハイドロニューマチックではありませんが、シトロエンのイメージどおり乗り心地はかなり気持ちいいものでした。サスペンションは昔のシトロエンほど柔らかくはないんですが、路面の当たりに独特の感触があるんですね。しかもハンドリングは正確で、雨に濡れた路面でも狙ったとおりのラインをトレースして、不安なくコーナーを抜けることができます。動力性能は搭載されているエンジン次第というところですが、なかでも印象的だったのはHDi 110と呼ばれる110psの1.6リッター・ターボディーゼルの走りの爽快なことでした。このエンジン、走行中はもちろんのことアイドリング中でさえもディーゼルであることを忘れさせるほどスムーズで、しかも同じ排気量のガソリンエンジンより明らかにトルキーで加速感にメリハリがあります。しかもそれでいて燃費がいいのですからこれは魅力的で、ヨーロッパでディーゼルの人気が高いのも素直にうなずけます。とはいえ現状ではターボディーゼルが日本に導入されることはありませんが。

 日本仕様は1.6リッターおよび2リッター・ガソリンのATが中心になるようですが、上の画像にあるスポーティなMTの180psクーペも導入されるはずです。いずれにせよC4は、シトロエンやフランス車のファンに限らず、来年半ば頃といわれる日本での発売が待ち遠しいクルマではないかと思います。

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November 18, 2004

パリ→ビアリッツ。

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   リヴォリ通りに面したインターコンチネンタル・ホテル3階の部屋で目覚めて窓を開けると、晩秋のパリのひんやりとした空気といっしょに、ルーブル美術館の方からコンコルド広場に向けて広い一方通行道路を加速するクルマたちのザワメキが耳に飛び込んできました。パリの住人の朝の通勤時間が始まっていたのです。名だたる歴史的ランドマークに囲まれた広い道路を幾重にも列をなした比較的小さなクルマたちが勢いよく飛ばしていくサマは、他の都市にはないパリならではのダイナミズムを感じさせます。

 そんななか、僕らは迎えのメルセデスのミニバンに乗ってパリ南のオルリー空港へ。1975年に初めてヨーロッパを訪れたときの帰路は、このオルリーから羽田に向かうパキスタン航空に搭乗したのですが、その直後にシャルル・ド・ゴール空港が完成してからは国際線の表舞台をソチラに譲って、国内線やアフリカ諸国便の発着を担うなど、今はパリのナンバー2空港としての役目を果たしているようです。で、この日そこから飛んだ先はスペインとの国境に近いフランス南西部の大西洋に面した保養地、ビアリッツでした。オルリーから1時間プラスのフライトでそこに着くと、どんよりと曇ったパリとは一転、そこは気持ちよく晴れわたっていました。その海岸沿いに建つデュ・パレはしばしばクルマの試乗会の舞台になるホテルで、僕も過去に3度ほど訪れたことがありますが、今回そこを基点にしてワールドプレミア試乗会が開かれたクルマは、シトロエンのニューモデル、C4でした。C4はシトロエンがこれまでのクサラに代えてCセグメントに送り込むクルマで、すでに9月のパリ・サロンで発表した5ドアハッチバックと3ドアクーペの2種類のボディがあります。

 では、それをさっそく走らせてみると、といきたいところでしたが、この日は日本グループの試乗予定はなく、テストドライブは翌日にオアズケなのでした。なのでここでは、もともとはナポレオン皇帝が自らの妃の別荘として建てたヴィラだったというホテル、オテル・デュ・パレの3階の部屋のバルコニーから望む、ビアリッツ大西洋岸の夕景をアップしておきましょう。


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November 17, 2004

再びパリへ。

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    この日、12時45分成田発のエールフランス=AF275便で成田からこの秋2度目のパリに向けて出発です。で、13時間弱のフライトの末、現地時間の午後5時すぎ、もうほとんど夕闇に包まれたシャルル・ド・ゴール空港に着陸。飛行機を降りてターミナルビルに入るといつも感心するのは、この空港の内外のデザインの素晴らしさです。バゲッジクレイム、すなわち機内預け荷物受け取り場の空間、そこに並べられた荷物を載せて運ぶためのバゲッジカートに至るまで、デザインや色調が醸し出すモダンな雰囲気が見事に統一されているのですから大変なものです。こういった公共施設のデザインの素晴らしさでは、フランスは世界でもたぶん一番の国なんじゃないかと僕は思いますが、どうでしょうか。

 ところで下の画像は、パリ1区、リヴォリ通りに面したホテルの3階の窓からエッフェル塔方面を望んだ、真夜中のパリであります。

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November 11, 2004

日本カー・オブ・ザ・イヤー。

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    山梨県と長野県との県境近くにあるリゾートホテル、リゾナーレ小淵沢で2004-2005年日本カー・オブ・ザ・イヤー=日本COTYの最終選考会が開かれました。そこではまず、僕を含む59人の選考委員の投票によって、今年のすべてのノミネート車のなかから「ベスト・バリュー」「モスト・アドバンスト・テクノロジー」「モスト・ファン」の3つの特別賞の選出がおこなわれ、2番目の画像のようにマツダ・ベリーサが「バリュー」、ホンダ・レジェンドが「テクノロジー」、そしてBMW1シリーズが「ファン」に選ばれました。それに続いておこなわれたイヤーカーの選考では、先月末に選出された10ベストカーのなかから5台を選び、そのなかで最上位と思われる1台には必ず10点を与えるという方式で合計25点を5台に配点して投票した結果、一番上の投票会場の画像にあるような開票結果が出て、ホンダ・レジェンドが圧勝といえる得票数で今年のイヤーカーに選出されました。と同時に、日産フーガに1票差で競り勝って2位の票を獲得したVWゴルフが、インポート・カー・オブ・ザ・イヤーの座に着いたのです。それにしても、3番目の画像にあるレジェンド開発エンジニアの方々の嬉しそうな顔が印象的ですね。

 ところで、僕の採点は例年、選考委員の大勢とはちょっと違う結果になることが多いんですが、今年もそうでした。VWゴルフ=10点、BMW1シリーズ=5点、日産フーガ=5点、ホンダ・レジェンド=4点、アウディA6=1点というのが、僕の25点の配点なのでした。ちなみにゴルフを10点にした選考委員は僕を含んで12人、1位のレジェンドには32人が10点を与えていました。

November 05, 2004

フーガ、キャデラック、ブリストル。

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    この日は日産フーガに乗ってキャデラックの試乗会が開かれている大磯に向かいました。フーガはセドリック/グロリアに替わる新しい日産の上級サルーンで、4WDもありますが、基本は3.5リッターまたは2.5リッターのV6エンジンによる後輪駆動車です。最初から輸出も視野に入れて開発されたところが、国内専用車だったこれまでのセド/グロと大きく違うポイントのひとつですが、今回乗ったフーガはいわゆるダンナ仕様の350XVというモデルで、明るいベージュの革張り内装を持ったクルマでした。3.5リッターV6と5段ATによるパフォーマンスは余裕たっぷりの印象でしたが、最も感心したのはシャシーの振る舞いでした。乗り心地は上級サルーンらしく適度にソフトなのにフワフワとした余計な動きがなく、ヨーロッパの中型以上のサルーンのようなフラットな感触が味わえます。それでいてコーナリングの手応えもスッキリしていて、いかにもドライバーズカーらしく仕上がっているのが好ましく思えました。たしかにこれまでのセド/グロとはクルマの種類が違う、という実感を与えてくれたのです。

 ところで、大磯から箱根にかけて試乗したキャデラックのメインはSTSという最新の大型サルーンで、フーガよりひと回り大きいボディに4.6リッターV8もしくは3.6リッターV6と5段ATを積む、これも4WDはあるけれど基本は後輪駆動のクルマです。乗ったのはV8モデルなのでパフォーマンスは充分以上に活発だし、磁気感応流体ダンパーなるものを備える減衰力可変式サスペンションも巧く働いている様子で、箱根ターンパイクのアップダウンも速いペースでこなしていきます。スクエアで縦長のヘッドライトとその内側のグリルによって、アメリカの伝統的高級ブランドであるキャデラックらしさをストレートに表現したボディも、このクルマの魅力のひとつだといえましょう。

 キャデラックに試乗した帰り、小田原厚木道路から東名に合流したところで、東京に向かう追い越し車線を目指してフーガで加速していたら、1台の旧くて大きいクルマが御殿場方面から疾駆してくるのが見えました。で、後ろについたら思ったとおり、それは1960年型ブリストル406というイギリス製の伊達でクラシックな2ドアサルーンで、ハンチングを目深に被った年令不詳のオヤジがステアリングを握っています。そこでパッシングの末に合図をすると向こうもコチラに気づき、海老名SAにドロップイン。ブリストルの主は僕らの同業者、川上 完さんという人物で、当方とは別の試乗会に出向いた帰りに御殿場から東名に乗ったのだといいます。2.2リッター直6エンジンを最近オーバーホールしたばかりで、ブリストル号は絶好調とのこと、数日後のCOTYでの再会を約して互いのクルマに戻ったのでした。

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November 04, 2004

マツダ・ベリーサ。

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    けっこう仕上げのよさそうなインテリアを持ったこのクルマ、何だか分かりますか? そう、タイトルにあるとうりマツダの小型ハッチバック、ベリーサなんですね。川原亜矢子と桐島ローランドのCMでお馴染みのベリーサは、デミオと同じコンポーネンツを使ったその豪華版というか大人仕様というか、まぁそういったクルマなわけで、ひとことでまとめれば1.5リッター4気筒と4段ATで前輪を駆動するBセグメントの5ドアハッチバック、ということになります。もちろん4WDモデルもあって、2WDの場合でプライスは税込み153.3万円ですが、上の画像のインテリアは標準仕様ではなく、9.45万円也のメーカーオプションのレザーパッケージ装着車なのであります。レザーパッケージといってもフルレザーではなく、シートのサイド部分やセンターのアームレストやステアリングホイールの一部なんかが本革製になるんですが、このインテリアのポイントはその革にアクセントを加えている白いステッチにあるんじゃないかと思いますね、僕は。

 このベリーサを1週間ほど、箱根や成田への往復や都内の所用に使ってみたんですが、例えば乗り心地が荒いとか音がうるさいとか加速がトロいとか、そういった不満はほとんど感じませんでした。ただしその一方で、ステアリングのフィールが少々希薄だったりして、僕のような運転好きにはちょっと物足りないところもあるんですが、主に都会の足と割り切って乗るにはなかなかいいクルマじゃないかと思いました。ま、そういってしまうと足にするにはデミオだっていいんですが、ちょっと大人ぶりたい人はベリーサをどうぞ、というところじゃないかと思います。

November 02, 2004

天国へ続くワインディングロード。

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    この日も早起きして表を覗いたら前日とは打って変わって雨。けれど8時にはクルマを用意してもらって公道のテストルートに出発したのですが、今回のゴルフGTI試乗会のルートのハイライトがこのワインディングロードでした。マルセイユの東側に位置する地中海に面した急峻な岩山の山側を走るこの道は、今から10年と少し前にルノーの試乗会でも走ったことがあるんですが、道幅は対向車が来たらスローダウンせずに擦れ違える最低限の広さしかなく、大半の部分で路側にガードレールはなし、したがってもしもドライビングをミスれば深い谷に転落間違いなしという、本気で飛ばすにはちょっと恐すぎる道です。たしか前回走ったときには、谷底に落ちたクルマの残骸を何台か確認して、余勢に背筋がゾッとしたものでした。しかもこの日は路面がウェットときているので、ますます慎重にならざるを得なかったのです。つまり、天にも昇るような素晴らしい景観と、ドライビングミスをしたら天国に直行という危うさの両方の意味から、“天国へ続くワインディングロード”に思えたわけです。

 ヨーロッパの峠道では、ロードバイクに乗ったサイクリストに遭遇することが多く、現地の休日で、しかも天気もよく晴れていた前日にはあちこちでロードバイク乗りの姿を目にしたのですが、どういうわけかこの道で彼らの姿を見ることはありませんでした。もしかしたら、あまりにも簡単に天国にいけてしまうほど危険なので、この道を避けているのかもしれません。

 とはいえ、僕らはもちろん無事にそこをクリア、同時に走りの撮影も済ませて、ニューGTIのドライビングを最後にもう一度堪能したのでした。下の画像にある初代GTIはVWがこの試乗会のために用意してあったもので、初代は未経験だという某誌編集者が運転してこの日の雨のテストドライブに連れてきたのです。1976年に登場した初代ゴルフGTIは、エンジンこそ初期型で1.6リッター、後期型で1.8リッターのSOHC4気筒にすぎませんでしたが、なにせ車重が800kg台しかなかったので実によく走り、当時のこのクラスの実用車としては驚異的といえる180km/hを超えるトップスピードをマーク、アウトバーンの追い越し車線をメルセデスやBMWに伍して走れることで勇名を馳せたものでした。件の編集者氏にその印象を尋ねると、「いや~、素晴らしいクルマですね」と大感激の様子でありました。

 それやこれやでホテルに帰り着き、若干の休息ののち、来たときと同様にVWのミニバンに分乗し、10時半過ぎにはマルセイユのプロヴァンス空港に向けて雨のなかを出発しました。空港では、ミュンヘン行きのルフトハンザ機の到着が遅れてちょっとハラハラしましたが、結局ほぼオンタイムでミュンヘン空港に着陸、そこから今度は成田直行のLH714便に乗り換えて帰路に着いたのです。

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November 01, 2004

南仏で乗る、新ゴルフGTI。

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    マルセイユ空港から激しい雨のなかをミニバンで飛ばすこと1時間プラスで、サーキット・ポールリカールに隣接するホテル・デュ・カステレに着いた翌朝、恐る恐る部屋のカーテンを開けてみると、幸い雨は止んでいました。プロヴァンスくんだりまでやってきて雨はないだろう、と思っていたので、本当にホッとしました。で、徐々に明るくなっていく空の下で、朝から試乗開始であります。

 そう、南仏で試乗するCセグメントカーはニュー・ゴルフGTIなのでした。ゴルフ3と4ではすっかり存在感が薄くなっていた「GTI」の名を、ゴルフ5に至って復活させようと生み出された、久しぶりに気合いの入ったGTIです。その内容は、2リッター直4FSIエンジンをターボで過給して200psを出し、そこに6段MTもしくはその2ペダル仕様であるDSGを組み合わせたパワーユニットによる前輪駆動車で、当然サスペンションは強化され、標準で17インチ、オプションで18インチのタイヤを履きます。一世を風靡した初代GTIではボディは3ドアのみでしたが、新型は3ドアと5ドアの両方が用意されているところにも、VWの気合いのほどが伺えます。ちなみにEU仕様では車重1300kg強、0~100km/h加速6.9秒、最高速233km/hという数字が公表されています。そこでさっそくDSGを備える赤の5ドアを借り出し、まだ路面はウェットだけれど南仏らしい透明感のある朝の陽光が射し始めたプロヴァンスの道に躍り出ました。70km強のテストルートは前半が緩やかなカーブが続くカントリーロードとオートルート、後半が狭く険しいワインディングと適度なコーナーおよびアップダウンが連続するカントリーロードから成り、GTIのようなスポーティで比較的コンパクトなクルマを走らせるのに最適のコースだといえます。

 そこを走ったGTIは期待以上のクルマでした。まずエンジンがターボとは思えぬほどレスポンシブなことに驚かされます。2リッターFSIターボは、かつてVW/アウディ系の1.8リッター・ターボに顕著だったもっさりした反応とはまるで別物のシャープな回転感を示し、ターボラグなど意識させられることはありません。つまり、全域でトルキーなNAのスポーツエンジンのように小気味よく回転を上げて、ゴルフ5のボディを力強く引っ張り上げていくのです。新型GTIのエンジンがターボであるということに若干ネガティブだった僕の意識は、これで完全にポジティブ方向を向きました。こういうターボなら充分にアリだ、と思ったのです。現在あるクラッチペダルレスMTのなかで最高の完成度を誇るDSGとの相性もよく、どちらかというとMT派の僕でも少なくとも公道上では古典的なMTの必要は感じませんでした。さらに、18インチのミシュラン・パイロットスポーツを履いたシャシーも上出来でした。まずは乗り心地が低速でも粗くなく、高速ではフラットで快適なことに感動を覚えたし、ステアフィールやハンドリング、高速での直進性にも文句はありません。それと、ブレーキも気持ちよく効きました。

 午後は試乗の舞台をサーキット・ポールリカールに移しました。この地方が発祥の食前酒、パスティスの一種である“リカール”からその名が与えられたポールリカールは、70年代にはF1フランスGPやツーリングカーの24時間レースの舞台にもなっていたレーシングサーキットですが、現在ではレーシングカーのテスト専用コースに生まれ変わって、レースは開催されていません。そこで公道では試せないレベルまでGTIをプッシュしてみると、タイトなヘアピンでは当然のごとくアンダーステアを示しますが、それでも最後までステアリングでコントロールが可能なことと、ドライバーが望むならスロットルを閉じることによって危なげなくテールを流してノーズを内側に向けることが可能なことも体験できて、有意義な時間をすごすことができました。そうそう、サーキットではDSGよりもMTのほうがエンジンを限界まで駆使できる実感があって好ましく感じたことも付記しておきましょう。ただしVWのスタッフの話では、ラップタイムを採るとMTよりもDSGのほうが速いそうですが。

 というわけで、幸運にもプロヴァンスの陽光に恵まれたこの日、ニュー・ゴルフGTIは僕に好ましい第一印象を与えてくれたのでした。

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