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September 27, 2004

フェラーリ365GTB/4デイトナ。

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    12気筒エンジンを積んだ2シーターのベルリネッタは、歴代フェラーリのトップモデルとして君臨してきました。現在ではフロントエンジンの575Mマラネロがそのポジションにありますが、70年代から90年代にかけてはBBやテスタロッサといったミドエンジン・ベルリネッタがその座につき、フロントエンジンの2シーターモデルはラインナップに存在しませんでした。そんなわけで、1968年にデビューし、BBが登場するまでロードゴーイング・フェラーリのトップモデルに君臨した365GTB/4“デイトナ”はかつて、「最後のフロントエンジン・フェラーリ・ベルリネッタ」、と呼ばれたのでした。

 自動車専門誌『Tipo』11月号の記事のためにこの日、画像にある濃紺のデイトナに試乗しました。デイトナは、ピニンファリーナによるフェラーリ・ベルリネッタ・スタイルがそれまでの250GT、275GTB系のデザインから劇的にモダナイズされた最初のモデルでもあり、なかでもノーズ先端のヘッドライトの部分が透明のプレクシグラスで覆われたこの初期型のボディは、60年代末の作品としては驚くほどモダンな造形を実現しているといえます。その見事な張りを保ったボディから想像できるとおり、この濃紺のデイトナは機械的なコンディションもすこぶる良好なクルマで、小雨舞う生憎の天気に見舞われた箱根のワインディングロードを快調に走ってみせました。

 3桁の数字が1気筒当たりの排気量を示すフェラーリの古典的なネーミングにしたがった“365GTB/4”の名が示すとおり、デイトナのエンジンは4.4リッターの4カムシャフトV12で、352PSを発生、トランスアクスルの5段MTを介してトップスピード280km/hに達するとされた当時最速のロードカーの1台ですが、それから30年以上経った今では、そういった獰猛さよりもグランドトゥアラーとしての落ち着き払った走りが印象に残りました。つまり、タイヤから悲鳴をあげながらサーキットを駆けたりするよりも、クルマに負けないくらい魅力的なパートナーを助手席にともなって長い旅に出るといった、GT=グラントゥリズモ本来の目的に使いたくなるクルマに思えたのです。

September 24, 2004

初秋のパリ。

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    フランスかぶれの女のコみたいな発言でちょっと恥ずかしい気もするんですが、1975年に初めてそこを訪れたときから、ヨーロッパの大都市のなかで僕が一番好きなのは、何を隠そうパリだったりします。ま、理由は色々とあるんですが、簡単にいえばその佇まいと街としてのスケールが、ちょうど僕の好みに合っている、ということじゃないでしょうか。今回はそこに2泊したもののホテルとパリ・サロン会場の往復がメインで、シャンゼリゼーやサンジェルマンのあたりをそぞろ歩いたりする時間はなく、ほとんど唯一の自由行動がジャーナリスト仲間といっしょに日本飯屋でラーメンと餃子と野菜炒めを食するために、フォーブルサントノーレ界隈までタクシーで出掛けたことという、なんとも風情のないパリ訪問でした。

 しかしそれでも、モンパルナスのホテルからシャルル・ド・ゴール空港に向かう帰路のミニバンの窓からデジカメを突き出して撮った早朝の街のショットが、ちゃんといっぱしの「初秋のパリ」を表現しているところからも、パリの只ならぬ魅力が伺えるといっていいでしょう。次のチャンスにはもっとちゃんと付き合ってやるぜ、と心に誓って華の都を後にしたのでした。

September 23, 2004

パリ・オートサロン。

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    ヨーロッパの秋のモーターショーは奇数年にフランクフルトで、遇数年にパリで開かれますが、今年はパリの年です。で、22日にローマからアリタリアでパリに飛び、23日はポルト・ド・ヴェルサイユの会場で開かれるパリ・オートサロンのプレスデイ初日を取材しました。今年のパリにおけるニューモデルの目玉はスポーツカーではフェラーリF430とニュー・ポルシェ・ボクスター、それ以外では新型フォード・フォーカスやシトロエンC4など、いわゆるCセグメントのコンパクトカーのニューモデルというところです。F430もボクスターもゼロから開発されたニューモデルというより、あくまで先代をベースにおいてのモデルチェンジですが、いずれも“乗ったらどうなんだろう”と期待させるに充分なクルマで、早くステアリングを握ってみたいものです。

 Cセグメントのハッチバックのなかで僕がとりわけ面白いと思ったのはシトロエンC4で、スタイリングは3ドアもユニークですが、個人的には5ドアに興味を引かれました。しかもC4は、エクステリアもなかなかユニークですが、特にシトロエンらしいのはそのインテリアです。下の画像にあるように、エアバッグが入った中央のパッドの部分は固定式で、その周辺のスポークとホイールの部分だけ可動式とされたステアリングや、その真ん前にタコメーターだけが配置され、スピードメーターがセンターに置かれたダッシュボードなんか実にユニークで、昔のシトロエンを知る者にとっては、インテリアがすこぶる個性的だったCXやBXの初期型を思い起こさせます。つまり、シトロエンが他のどのクルマとも似ていない時代のシトロエンに戻りつつあるように感じられて、なにやら嬉しい気分になったものでした。というわけで、シトロエンC4も“早く乗ってみたいぞ”と思わせる1台なのであります。

September 22, 2004

メルセデスの新種、CLS。

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    この日とその前日、ローマ市内およびその郊外で試乗した新しいメルセデス・ベンツがこのクルマ、CLSです。Eクラスをベースとするプラットフォーム上に構築された全長4.9mを超える堂々たるボディは、メルセデスとしては珍しいばかりか、メイクを問わず稀な4ドアクーペなんですね。つまりメルセデスは、EクラスとSクラスのサルーン、およびクーペのCLのそれぞれの特徴を1台に集約したといえるニッチなクルマを生み出してきたわけです。顧客を争うべきライバルは、ジャガーXJサルーンやBMW6シリーズというところでしょうか。バリエーションは3.5リッターV6を積むCLS350と、5リッターV8を積むCLS500の基本2モデルで、外観やホイールをスポーティに装ったAMG仕様も選べます。それに加えてこの直後のパリ・サロンでは、高性能バージョンとしてCLS55AMGも出現しています。

 7段ATを介して後輪を駆動するパフォーマンスはV6の350でも充分に速いのに加えて、ルーフの低いクーペボディの恩恵で腰の座った印象のコーナリングが味わえるなど、走りもEクラスサルーンよりスポーティに味付けられています。けれども、エクステリアと並ぶこのクルマの最大のポイントはインテリアにあるといっていいでしょう。リアシートが完全に左右に分かれた4人乗りのキャビンは、当然のごとくレザーとウッドが多用され、しかも通常のメルセデス・サルーンとはまったくテイストの異なるデザインが施されて、非日常的な空間に仕立て上げられているといえます。もちろん天井はかなり低いんですが、ヘッドルームにもレッグルームにも特に不足はありません。

 で、このエクステリアとインテリアのデザインには賛否両論あるでしょうが、僕は決して嫌いじゃありません。なにせこのCLS、イメージテーマはイタリア語で「ドルチェ・ヴィータ」=「甘い生活」なんですから、少しは非現実的じゃないとね。ま、メルセデスがここまでやるとは、ちょっと驚きではありますが。そうそう、僕のオススメのモデルはCLS350です。動力性能はV6でも不足ないうえに、ノーズが軽いぶんコーナリングが身軽だというメリットもあるんですから、少なくとも日本で乗るには350でまったく充分ではないかと思うわけです。

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September 21, 2004

ローマ再訪。

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    ヨーロッパの大きな都市のなかでローマはクルマ業界とはあまり関係の密でない街で、それほど頻繁に訪ねる場所ではありませんが、それでも1984年にミッレミリアを追った取材の途中で立ち寄って以来、この度の訪問で10回は超えるでしょうか。今回、10月20日に成田を発ってフランクフルト経由でローマを再訪したのは、そこがメルセデスのニューモデルの試乗会の舞台になったからです。そのメルセデスの話はさておき、試乗を始める前の2~3時間、街の中心部ポポロ広場の周囲にあるホテルを出てローマの中心部を散策する時間があったのですが、そのときにあらためて実感したのは、ローマはまぎれもなく2000年前の遺跡と現代の暮らしが共存している街だなぁ、ということでした。

 自動車に関していえば、ローマの主役は相変わらず小さいクルマでした。さすがにリアエンジンのチンクエチェントは数年前ほど見なくなりましたが、オリジナル・パンダは今も多数が現役で走っています。それに加えて印象的だったのは、スマートの多さでした。パンダと並んだ画像にあるように、2座のスマートは完全にローマの景色の一部になっている、という印象で、フランクフルトのようなドイツの大都市よりもローマの方がスマートを目にするチャンスが多いのではないかと思ったら、実はスマートが最も数多く走っている都市はミラノ、それに続くのがローマだということでした。その絶対的に小さいボディサイズと、小さいけれども他の超小型車とは一線を画したプレミアム感、それがミラノやローマといった道の狭い、しかしスノッブな人種の多いイタリアの大都市にフィットするのでしょう。

 その一方で、一番上の画像にあるように、他ではさほど見掛けないランチア・テージスのようなイタリア製の高級車が、路地の奥の中庭のようなところに何気なくパークされていたりするのも、いかにもローマらしい景観であると思いました。

 ローマ、さすがに奥の深い街です。

September 16, 2004

僕の超軽量最新スポーツカー?

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    僕が最近手に入れた乗り物がこのキャノンデールSIX13=シックス・サーティーンというロードバイクです。ツール・ド・フランスと並ぶ自転車ロードレースの最高峰のひとつ、ジロ・ディ・イタリアの優勝チーム、イタリアのサエコがワークスマシーンとして使っているモデルですから、ま、パリパリのレーシングバイクだといえます。キャノンデールといえばアメリカに本拠を置く自転車メーカーなんですが、まるでイタリアンバイクのようなデザインとカラーリングに魅了されちゃったんですね、僕としては。そういったスタイリングのよさを別にすれば、このSIX13の最大の特徴はキャノンデールがハイブリッドと呼ぶ、アルミとカーボンを組み合わせたフレームにあります。とにかく軽くて、しかも剛性感は充分、それでいて乗り心地も思いのほかに快適という、スグレモノ(死語)なフレームなんですね。サエコのチームバイクはコンポーネンツにイタリアのカンパニョーロを使っているんですが、僕の場合は日本のシマノの最上級コンポ、デュラエースを使って組んであります。重量はペダルやサイクルコンピューターやボトルケージ、それにテールランプまで装着したフル装備状態で7.54kg、装備レスでは7.20kgに収まっているんですから、やっぱり相当軽いです。なにしろ片手でヒョイと持ち上がってしまうんですから、ママチャリしか知らないない人だったら、きっとぶったまげるほどの軽さですよ。

 というわけで、こいつが僕が手に入れた最新の超軽量スポーツカーなのであります。といっても、もともとレースに出る積もりはないし、今のところツーリングにいったりする時間もなくて、主な用途は家と事務所のあいだの通勤の足なんですが、それでもその軽い走り味をけっこう愉しめちゃうのが、自転車のいいところかもしれませんね。

September 14, 2004

ニュー・フィアット・パンダ。

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    フィアット・パンダといえば、1980年のデビュー以来20年以上にわたって、庶民の足としてイタリアのみならずヨーロッパ中にその足跡を残した小型車ですが、それがついに新型に変わりました。これがその新型で、平らな面と面をくっつけた折り紙細工のようなジウジアーロ・デザインの初代モデルほどストイックではないとはいえ、その5ドアボディはいかにも実用車然としているところが、まぁパンダを名乗るに相応しいといえましょう。もちろんサイズも初代より大きくなっていますが、全長3.5m強、全幅1.6m弱、全高1.5m以上というそのボディは、今日の標準からすると、最も小さい5ドアのひとつではあります。ただし、日本の軽自動車を別にすれば、の話ですが。

 ニュー・パンダのボディは初代より大きくなっていますが、それにともなってエンジンの排気量も大きくなっています。日本仕様には60PSを発生する1.2リッター4気筒が搭載され、アルファのセレスピードなどとベーシックには同じ構造の“デュアロジック”という名の2ペダルMTと組み合わせられて、前輪を駆動します。このトランスミッション、ATモードでは例によって若干のつんのめり感が残りますが、マニュアルでシーケンシャルシフトしてやると歯切れよく反応するので、そういう使い方を好む人には向いていると思います。動力性能は決して活発とはいえませんが、街中での用途が多いのであれば、不満はないはずです。サスペンションはソフトなセッティングのため今どきのクルマとしてはコーナーでのロールが大きく、元気よくコーナリングするとはっきりとボディを傾かせますが、それはそれで意外と面白い。と同時に、ちょっと昔のフランスの小型車を思い出させる、ゆったりとしてソフトな乗り心地もニュー・パンダの好ましい個性のひとつだといえましょう。

 つまり今度のパンダには、先代の大きな特徴だった室内の多様性はほとんど受け継がれていませんが、せっかちでない性格の人が都会の足として使うのに向いたクルマだろうと思いました。ちなみに車重はオリジナル・パンダより300kg近く重い960kg、プライスは画像にある豪華仕様のパンダ・プラスで税込み170万円弱というところです。

September 11, 2004

『911DAYS』ワイワイ祭 in Fuji。

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    この日、名古屋に編集部のあるポルシェ専門誌『911DAYS』が読者のために主催したイベント「ワイワイ祭」が富士スピードウエイのジムカーナ場で開催され、僕も編集部に招かれてそこにいってきました。9月11日といえば、巷では3年前にアメリカが同時多発テロの攻撃にあった日として知られていますが、この雑誌の読者をはじめとする熱心なポルシェ・ファンにとっては、911の日なのです。

 驚いたのは、早くも並行輸入の997カレラSがそこにやってきていたことで、上の画像にあるように僕の1965年型911と並んで展示されたのですが、同じ911でも両車のあいだには40年の歳月が流れているわけです。それだけ年月の離れた2台でも、全体の佇まいには明らかに共通するところがあるし、ドライビングしても同様のことがいえるのですから、ポルシェは面白い。それはいうまでもなく、リアに搭載したフラット6エンジンによる後輪駆動の高性能スポーツGT、という基本コンセプトが変わっていないからに他なりません。

 この日は、『911DAYS』の編集長および副編集長と僕でトークショーをやったり、車庫入れが義務づけられたお遊びジムカーナに出場したりして、久しぶりに楽しい土曜日を過ごしたのでした。ジムカーナでは最初、画像の一番右に写っている派手なペイントを施された編集部の964カレラ2を駆って走ったのですが、なんとまあそのコントロールし易いこと。パイロンを180度ターンするところで思い切ってスロットルを踏み込んだら、フロントがちゃんと接地したままテールが振り出され、一発のカウンターステアで見事ノーズが向きたい方向に決まったのは、自分ながらヤッタゼという感じで、実に気持ちよかった。

 それにもうひとつ、久しぶりに遠出に連れ出したウチの65年911が快調至極で、東名のコーナーの多いセクションでは、現代のポルシェとほとんど変わらぬペースでクルージングできることを再確認できたのも、けっこう嬉しかった一日でありました。

September 09, 2004

BMW 1シリーズ国内初試乗!

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    ニュー・ミニを別にすれば現在最も小さなBMW、1シリーズがいよいよ日本でも発売間近になって、この日、御殿場から山中湖方面に向かう途中にある小さなホテル、オーベルジュ・ブランシュをベースにしてプレス試乗会が開かれました。小さなBMWというのは僕も個人的に大いに興味のある存在ですが、その最大の特徴はいうまでもなく、いわゆるゴルフ・サイズのCセグメント2ボックスハッチバックでありながら、他車と違ってフロントエンジン/リアドライブ、通称FRを採用しているところにあります。BMWが力説するのは、Cセグメントのハッチバックであっても1シリーズは単なる実用車ではなく、BMWいうところの「駆け抜ける歓び」を存分に備えたプレミアムカーだというわけです。搭載されているエンジンは今のところ直列4気筒のみで、1.6リッターの116i、2リッター低出力エンジンの118i、それに2リッター高性能版の120iの3モデルがありますが、日本で最初に発売されるのは120iで、今回の試乗会に用意されていたのも120iだけでした。

 ではその120iはドライビングしてどうだったか? 結論から先にいえば、もちろん悪いはずはありません。150psのパワーも20.4kgmのトルクも新しいVWゴルフⅤの2リッターFSIユニットとまったく同値ですが、回転感は一段と官能的で、メーカーは違うけれどゴルフと同様の6段ATを介してゴルフより30kg軽い1350kgのボディを引っ張る加速も、充分活発なものです。さらに、次期3シリーズにも使われるという新開発のプラットフォームによるハンドリングも余裕しゃくしゃくで、あまり飛ばせるワインディングのなかった当日の試乗コースでは、コーナーでも事実上オン・ザ・レールを保ち続けたのでした。

 とまあ、1シリーズは期待に違わぬ出来のクルマだったわけですが、しかし気になる点が皆無だったわけではありません。それは何かというと、BMW=FRであることと、その結果として期待されるスポーティさを、メーカー自身が意識しすぎたんじゃないか、と感じられたことでした。例えば、走り出した途端に“エッ”と思うほど手応えの重いステアリングや、試乗したのがスポーツ・サスペンション仕様ではなく、ノーマルの脚を持つクルマだったにもかかわらず、わりと硬めの乗り心地などから、それを感じ取ったのでした。つまり純粋に普段の足として乗るのなら、ゴルフⅤのノーマル系の方が気負わずに乗っていられてたぶん楽だろうな、なんていう気がしたわけです。もっとも、そういったゴルフとの違い、言い換えればテンションの高さこそ、BMWが1シリーズに表現したかったことなのでしょうが・・・。

 注目のプライスですが、これは現時点では公表できません。ただ、ゴルフを中心とするライバルよりはかなり高価、とだけ書いておきましょう。1シリーズはその点でも見事にプレミアムなのであります。

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